重要美術品 

一文字 刀

No.978999

刀 吉岡一文字 光忠折紙 伝来細川家-水戸徳川家-土屋家 鎬にまで掛る究極の華やかな丁子乱れ傑作 二尺三寸四分
極め 吉岡一文字
登録証 東京都 昭和 30 年 12 月 17 日
寸法 刃長 70.9 cm (二尺三寸四分)・ 1.4 cm ・ 3.0 cm ・ 2.1 cm ・ 3.8 cm ・ 19.4 cm
0.60 cm ・ 0.69 cm ・ 0.48 cm
648 g
備前 時代 鎌倉時代
姿 鎬造、庵棟、身幅広く、反り尋常、腰反りつき、中鋒。
板目肌つみ、杢目肌交じり、地沸微塵に厚くつき、乱れ映り立つ。
刃文 焼き幅大きな丁子に、重花風の丁子・袋丁子・蛙子調の丁子・互の目など交じり、足・葉よく入り、匂出来、小沸深くよくつき、金筋頻りにかかり、匂口明るい。
帽子 乱れ込んで小丸。
彫物 表裏に棒樋を掻き通す。
大磨上、先切、鑢目筋違。
ハバキ 金着二重。
説明

鎌倉時代の備前物は、一文字と長船の両派に代表され、一文字派は以後南北長期にかけて福岡・吉岡・岩戸などの地に繁栄し、多くの良工が輩出した。この派が一文字と呼称される所以は、茎に「一」の字をきることに因るが、銘は「一」の字のみのものと、他に「一」の字の下にさらに個銘を加えるもの、また個銘だけのものもある。吉岡一文字派は、福岡一文字派に次いで鎌倉時代末期から南北朝期にかけて繁栄した。一派の代表工には助光・助吉・助茂・助次・助義などがいて「助」を通字としており、作風は、乱れの中に互の目が目立ってやや小出来となるものである。この刀は、身幅広く、腰反りつき、中鋒となる姿に、つんだ板目肌に、杢目交じり、乱れ映り立つ美しい地鉄に、鎬にまで掛かる焼き幅大きな丁子に、やや逆掛る重花風の丁子・袋丁子・蛙子調の丁子・互の目など交え華やかに乱れ、足・葉よく入り、金筋・砂流し頻りに掛かるなど刃中の働き豊かで、刃肉も残り頗る健全な傑作である。伝来は、正徳二年光忠折紙の包紙にあるように細川家より婚姻関係が深かった水戸徳川家に贈られ、水戸藩主徳川治保の三男が土浦藩9代藩主を継ぎ、徳川斉昭の子が土浦藩11代藩主を継いでいるのでどちらかの折に土屋家に移ったと思われる。白鞘には、昭和33年の寒山鞘書と昨年末に田野辺先生に書いていただいた鞘書がある。

 吉岡一文字 刀 重要美術品
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