人間国宝 

傘笠正峯 脇差

No.165693

寸延短刀 傘笠正峯作之 癸亥年二月日 青江写し逆足入る最高傑作 一尺八寸
銘表 傘笠正峯作之
銘裏 癸亥年二月日
登録証 石川県 平成 28 年 6 月 21 日
寸法 刃長 32.8 cm (1.08)・ 0.3 cm ・ 3.1 cm ・ 9.7 cm
0.60 cm
300 g
石川県 時代 昭和
姿 鎬造、庵棟、身幅広く、反り僅かにつく。
板目肌つみ、杢目・流れ肌交じり、地沸微塵につき、地景微細に頻りに入り、鉄冴える。
刃文 直刃調に、浅くのたれて、小互の目交じり、逆がかった足・葉頻りに入り、匂勝ち小沸深くよくつき、匂口明るい。
帽子 直ぐに小丸、深く返る。茎は、生ぶ、先栗尻、鑢目勝手下り化粧、目釘孔一。
彫物 表裏に棒樋を掻き流す。
ハバキ 上質金着二重。
説明

正峯は大正十年石川県に生まれ、本名を隅谷与一郎と言い、立命館大学を卒業後、桜井正幸刀匠に学び、昭和十七年には広島県にある興国日本刀鍛錬場に入る。戦後は昭和三十年に、鍛錬所「傘笠亭(さんりゅうてい)」を郷里に構え、傘笠亭、傘笠、両山子とも号している。同三十二年から八年間新作刀展で連続入賞、同四十一年、四十二年と連続で正宗賞の栄誉に輝き無鑑査刀匠となり、同五十六年には重要無形文化財指定を受ける。平成十年、七十七歳没。主な作品に、伊勢神宮式年遷宮御神宝纏御太刀(昭和39年)、伊勢神宮式年遷宮御神宝太刀十二振(同44年)、伊勢神宮式年遷宮御神宝太刀十六振(平成元年)のほか、皇太子妃、秋篠宮真子内親王の守り刀などがある。飛鳥・奈良時代から現代にいたる刀剣技術を研究し、なかでも鎌倉期の一文字や長船長光、青江などを得意とした。

この刀は、昭和58年、正峯が一番油の乗った、最も名品を残した時期の作で、彼が得意とした青江を写し成功している。南北朝の寸延短刀の姿で、板目肌がに地景細かく入る美しい時鉄に、頻りに逆足・葉入る刃を見事に焼いた最高傑作である。

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